自然破壊と廃棄物公害を防止する住民連合会
共同代表 小林弘次 様


 日ごろから県の産業廃棄物行政に御理解、御協力をいただき、お礼申し上げます。
さて、平成21年9月7日付け及び11月16日付け文書により知事あてにいただきました御要
望につきまして、以下のとおり回答いたします。


1 過去の処理状況について

 平成11年4月までの10年余の間に焼却された産業廃棄物の量や焼却灰の処理については、
10年以上前ということもあって、文書保存年限経過により当時の関係資料等は、ほとんどが
廃棄処分されており、既存資料や業者に対する聴取等に基づき調査いたしました。
 その結果、処分実績報告書により把握できた焼却実績は平成10年度のみで、その量は、木
くず696d、廃プラスチック類1,724d、動植物性残渣105d、ゴムくず3d、紙くず293d、
繊維くず4d、廃油16dでした。これに伴う焼却灰の処理については平成10年度の環境衛生
監視機動班監視状況報告書により711立米、量量換算で約490dの委託処理(主な委託先:岳南
産廃処理業協同組合、首都環境整備梶jが確認されております。
 なお、県外産業廃棄物を調査する際、残っていた過去の県外産業廃棄物処分実績報告書に
より、申請者の処分実績で確認できたものがありましたので、判明した焼却処分実績を以下
に記載します。当該焼却灰の処理について、県には書類が残っておらず確認できませんでし
たが、委託処分先として申請業者から書類の提出を受け、契約書の写し(国土開善梶A岳南
産廃処理業協同組合、樺部クリエイト事業団、首都環境整備梶jを確認しております。
 平成5年度:木くず1,274d(うち県外104d)、廃油8d、紙くず300d
       動植物性残渣15d
 平成6年度:木くず1,421d(うち県外389d)、廃プラスチック類90d(うち県外12d)、廃
       油13d、紙くず217d、動植物性残渣18d
 平成7年度:木くず1,509d(うち県外648d)、廃プラスチック類478d(うち県外159d)、
       廃油12d、紙くず196d、動植物性残渣27d
 平成8年度:木くず2,492d(うち県外578d)、廃プラスチック類566d(つち県外103d)
       廃油90d、紙くず359d、動植物性残渣126d
 平成9年度:木くず749d(うち県外549d)、廃プラスチック類665d(うち県外103し)、廃
       油15d、紙くず750d、動植物性残渣160d

 県外からの産業廃棄物の搬入に必要な事前協議につきましては、前述の県外産業廃棄物処
分実績報告書による報告を毎月受けており、確認できた県外産業廃棄物の焼却実績は前記(う
ち数)のとおりです。また、申請業者からの提出を受けて排出事業者からの事前協議書(控)
の写し(一部)も確認しております。(主な排出事業者:椛ワ内興業、神奈川美研梶A三星産
業求Aソリタ運輸梶j

 過去の行政指導や改善命令等への対応は、以下のとおりです。
@平成5年8月4日 業務停止14日間(御殿場及び下田における無許可による積替え保管)
  ※ 積替え保管現場については原状回復済みであることを確認しています。
A平成8年9月13日 業務改善命令:1回目(過剰搬入した産廃の適正処理等)
 平成9年2月12日 業務改善命令:2回目(過剰搬入した産廃の撤去)
  ※ 撤去に当たっては、主として峠付近の安定型最終処分場へ理立処理され、他は委託
   処理により改善を確認しています。
B平成10年6月15日 業務停止20日間(御殿場の安定型処分場に燃え殻を埋立て)
  ※ 理立てた燃え殻は全て撤去され、原状回復を確認しています。
 立入りの際に判明した不適正処理に関しては、その都度、指導票の交付等により改善指導
を行っております。
 なお、ダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法に基づき、毎年、環境
調査を実施し、昨年度も稲生沢川及び下田港を含む全ての測定地点において環境基準をクリ
アしております。また、焼却施設周辺においても毎年、水質等の検査を実施しており、今後
も引続き、周辺環境に留意してまいります。


2 今回の対応に係る根拠について

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」とします。)では、産業廃棄物
の処分を業として行おうとする者は都道府県知事の許可が必要とされており、これは国の法
定受託事務として、事業者の申請が廃棄物処理法に定める要件を満たしていれば許可しなけ
ればならない性格のものです。
 現在のところ、処理施設における廃棄物処理法上の施設基準や、廃棄物処理法上の申請者
に係る技術的能力等その他の審査基準に関して特に問題は認められません。また、廃棄物処
理法上、許可取消を受けた場合であっても5年を経過すれば改めて許可を取得することが可
能です。


3 わずか1〜2年前の不許可から条件付許可とする根拠について

  前回の不許可の理由である「おそれ条項(その業務に関し不正又は不誠実な行為をするお
それがあると認めるに足りる相当の理由がある者)」についても検討しておりますが、適用は
難しいと考えています。というのは、許可取消後1O年が経過(法定欠格期間は5年)し、廃
棄物処理法違反はもとより土木建築請負等の他の事業に間しても関係法令の違反はありませ
ん。最高裁判決(平成17年4月)後からは法定欠格期間と同じ5年が経過しつつあります。
 また、訴訟も含め、これまで反省の態度を示していませんでしたが、今般、上申書により
法令を遵守する旨を表明し、これまで当室が行ってきたヒアリングでも過去の不適正処理を
反省し今後は法令を遵守することを繰返し述べています。加えて、これまでに、不許可処分
に対する審査請求を全て取下げ、地域住民及び地元市と協議していく姿勢を示しています。
 法律では、地元の方々が懸念されている生活環境保全上必要な事項について具体的に規定
していないことから、それらを許可の条件とすることによって、事業が再開された場合にお
ける地元の方々がお持ちの懸念を払拭できるものと考えております。


4 潟純Cティービジネスの事業計画や施設の状況等について

 許可申請に係る事項については、平成21年11月16日付けで部分開示いたしました資料によ
り御確認いただきますようお願いいたします。
 また、現在、廃棄物処理法上の許可を有する施設は以下のとおりであり、今後の施設計画
について、特に話はありません。
@焼却施設(1基)… 大気汚染防止法やダイオキシン対策特別措置法に基づく検査を行う
 等必要に応じたメンテナンスを行っています。自社廃棄物であれば処理可能ですが、現在
 は検査による焼却以外行っていないと聞いております。
A破砕施設(3基、ただし1基は稼動不可)…こちらも現在は、特に稼動させていないと聞
 いております。


5 この問題の取り扱いについては住民合意が前提であり、住民が納得できる説明や情報開示
 がないまま業の許可を下すことのないよう強く求める。

 
 御指摘の「住民合意」につきましては、廃棄物処理法に定める許可要件とはなっておりま
せんが、処理業者と地元住民との相互理解が、産業廃棄物の適正処理に当たって重要である
と考えておりますので、それらが図られるよう努めてまいります。

 許可を持つ全ての処理業者には、産業廃棄物を適正に処理する責務があります。
 県といたしましても、産廃公害や違法操業を起こすことのないよう、産業廃棄物の適正処
理に向けて指導等を徹底してまいりますので、御理解、御協力をいただきますようお願いい
たします。


平成21年12月10日


                 静岡県県民部環境局廃棄物リサイクル室長 市川克次

(注)一部、表示できない字を修正してあります。