自然破壊と廃棄物公害を防止する住民連合会
共同代表 小林弘次 様

 日ごろ県の産業廃棄物行政に御理解、御協力をいただき、お礼申し上げます。
 遅くなりましたが、平成22年2月26日付けの文書によりお尋ねのありました件につきまし
て、以下のとおり回答いたします。

1 残灰処理の実績について

  当時の焼却施設からの排水は、スクラバーのオーバーフロー水及び冷却水と考えられ、こ
 れらの排水を再利用するために処理装置を設置し排水を循環利用していたようですが、焼
 却量が増加した際など再利用処理が追いつかず、完全に処理されないまま排水された際、含
 有物が配水管溝内に堆積した可能性があります。
 平成3年度〜平成9年度にかけての残灰処理について、YTB社から聞き取りを行いまし
 たところ、以前にも回答しましたように当時の資料が残っていないとのことで詳細を確認で
 きませんでしたが、灰については最終処分場に処理委託していたと聞いております。

2 残灰処理の実態について

  平成10年度の環境衛生監視機動班監視状況報告書によれば、岳南産廃処理業協開組合(富
 士市)に711立米の燃えがらを搬出し、神奈川県の首都環境整備鰍ノも若干量搬出したとの記録
 があります。委託業者である岳南産廃処理業協同組合は、静岡県の許可を受けた管理型最終
 処分場を有しておりますが、現在は埋立を終了しています。当時、平成10年度と思われます
 が、搬入に当たって富士保健所に確認を依頼し、適正に処理されたことを確認しています。
 首都環境整備鰍ヘ過去に最終処分業の許可を有していたと思われますが、神奈川県に確認し
 たところ現時点では許可を取得していないとのことです。

3 住民との合意について

  1月18目には、当該時点における状況説明として、県として許認可の判断を行ったわけで
 はなく未だに審査中であるということについてお話したものです。以前もに申し上げました
 とおり「住民合意」については廃棄物処理法に定める許可要件とはなっておりませんので御
 理解いただきますようお願いいたします。

4 住民説明会について

  1月18日の説明会は、これまでに事業者と地元とで話合いの場が全く持たれず、意思の疎
 通が図られていなかった経緯から、それらを改善するために、まずは地元の代表の方々を対
 象としてということで説明会を行ったものです。よって今後、多くの下田市民に対し、事業
 者から説明する機会が設けられるのであれば、より相互の理解が図られるものと考えます。

5 産業廃棄物処分の現状について

  事業計画はあくまでも計画でありますが、申請書に係る添付書類に関しては、YTB社が
 実際に市内3業者から入手していることを確認しております。
  「重大な支障が生じているのか」の点について、下田市及び賀茂郡内の産業廃棄物処理が
 滞るなどの支障が生じているとは認識しておりません。この地域の産業廃棄物の処理は中間
 処分が主であり、最終処分は県内の他の地域又は県外に運ばれ処理されているのが現状です。

6 廃油処理について

  廃油の処理方法については、その質、量、処理(再生)コストなどを勘案し排出事業者
 が、許可を有する処理業者の処理方法を選択して委託するものと考えております。また、保
 管量は焼却炉の処理能力から最大値が定められ、法の定める範囲内で予備的に保管容量を設
 けることは可能です。なお、YTB社の焼却炉には廃油の噴霧装置等がないため、廃油その
 ものではなく主として廃油に分類される廃ウエスの焼却をすることになっています。

7 コンクリート廃材破砕の処理機器の設置許可について

  がれき類破砕施設の設置許可を受けています。

8 財務状況について

  許可の審査は、申請時の内容で審査を行うのが原則であり、現時点では、以前に回答しま
 したとおり処分業を展開していくのに支障があると認められないと考えています。ただし、
 申請から1年以上経過していることもあり、県としても最終判断に当たっては、直近の経営
 状況を再度確認する必要があると考えております。

9 環境影響調査について

  産業廃棄物処理業の許認可に係る審査は、環境影響調査を必須としていないことから、調
 査の実施は困難と考えております。また、県では、焼却施設周辺において毎年、水質等の検
 査を業施しており、いずれも環境基準値以下の結果となっております。今後も引続き水質検
 査を実施してまいりますとともに、泡の発生原因及び除去対策につきまして調査検討してい
 きたいと考えております。

10 周辺森林の枯損、送電線に対する根本原因について

  周辺森林の枯損については、平成9年に県林業技術センター(当時)が実施した調査報告書
 によれば「自然要因で枯れたとは考えにくく、人為的な影響が考えられ、産業廃棄物処理施
 設、特に焼却炉からの排煙が原因で周囲の森林に影響を及ぼしている可能性が高いと推測さ
 れる」とされています。
  また、平成11年(行ウ)第10号 産業廃棄物処理業等の許可取消処分取消請求事件に係る平
 成13年11月15日静岡地裁判決には、「本件施設からの排煙が森林枯損に影響を及ぼしている可
 能性が高いと認められる」「本件施設からの排煙が断線事故に何らかの影響を与えている可能
 性は高いものと考えられる」と記載されています。
  これらを県として把握しておりますが、その根本原因について、現時点で判断するのは困
 難であると考えております。


  以上、御理解いただき、県の産業廃棄物行政に今後とも御協力賜りますようお願いいたし
 ます。


 平成22年5月19日

              静岡県くらし・環境部環境局廃棄物リサイクル課長 市川克次