下田市・自然破壊と廃棄物公害を防止する住民連合会

[WEB版] 会  報 №15 2009.12.1
 (H21)


産業廃棄物の下田への持込を許すな

静岡県にYT社の不許可を要請


県は現場を調査し住民の疑問に誠実に答えよ


ワイティービジネスの再開絶対反対

 
11月16日、「自然破壊と廃棄物公害を防止する住民連合会」の小林弘次共同代表他30名は、㈱ワイティービジネスの許可申請を不許可とするよう求める要望書を持ち、バス・乗用車に分乗し県庁に出向きました。
 花井征二県議(日本共産党)の紹介により、午後1時30分から県庁401会議室で県民部環境局次長や廃棄物リサイクル室長らと交渉を行い、その後午後3時15分から記者会見を行いました。
交渉中に県当局が表明した「不許可は困難なので地元で公害防止協定を結んで欲しい」、「住民合意については法に定められている必要条件ではない」などの見解は法の前提条件を無視するもので、私たちが納得できるものではありません。以下に交渉経過を要望書の観点に沿って報告します。

県当局に要望書を提出する小林共同代表
 
  県当局に要望書を提出する小林共同代表




埋め立て残灰処理問題が解明されないままの許可はおかしい

 県当局によると、㈱ワイティービジネスは平成11年4月27日の業の取り消し処分を受けるまでに県から数回の改善命令を受けたが、指摘事項は改善されている。私たちが指摘した燃え殻(残灰)については平成10年度には711㎥、490トンの燃え殻(残灰)を排出したが適正に処理されていると、信じがたい回答がされました。
 住民側から、それ以前の過去10年余の焼却灰は約5,000トン余になると思われるが、最終処分場として遮断型、管理型は全国的にもそう多くない。桧沢林道沿いの焼却灰は、どの最終処分場に、何を、いつ、何トン処理されたか追跡可能なはず、具体的に検証・解明なしで許可問題が検討されるのはおかしいと指摘しました。
 また、10年以上前のことなので資料が無いかもしれないとの県の発言に対し、残灰処分が適正に行われているか県はボーリングなど現地調査を徹底的に行うべきだと強い発言がされました。
 
県当局はどのように処分されたか業者に問い合わせ調査すると回答

みんな下田を守りたいという思いで参加した
  みんな下田の環境を守りたいという思いで参加した



二度の不許可決定をくつがえし許可する理由は何か

 県当局は、(1)許可取り消し処分から10年経過し、この間、違法行為がなかった。(2)業の取り消しは不当だと裁判に訴え、平成17年3月最高裁で上告棄却された後も、不許可処分について環境省に不服審査請求を行うなど、法違反の反省が無く「再発の恐れ」があった。
 しかし、平成20年8月「基準を守って適正な業務を営む」と言う上申書が県に提出されたので、生活環境保全上の条件を付けた上で許可せざるを得ないと判断している。


上申書1枚で許可するのか

 住民側から、廃棄物の処理および清掃に関する法律は「その業務に不正または不誠実な行為をする恐れがあると認めるに足りる相当の理由のあるもの」は不許可にすると定めている。許可取り消し中の平成18年当時、営業用の看板が掛けられていた。違法操業当時の役員が今日も役員となっている。上申書1枚で不法行為の恐れがないと判断するのはおかしいと指摘しました。

県当局に住民の思いを訴える沢登共同代表
    県当局に住民の思いを訴える沢登共同代表


不法操業の恐れは無いのかワイティービジネスの事業計画

 県当局は、㈱ワイティービジネスの申請によると下田市内の建設廃材等が月に約110トン、金属やゴム、プラスチック、廃油など46.5トン、県内から35トン、合計1ヶ月当り処理量は約200トンと回答。
 住民側は、市内から月量156.5トンも出るとは考えられない。下田市内には、県から産廃処分業の許可を受けた4社が営業している。
㈱ワイティービジネスの営業が成り立つためには、大都会から産廃が持ち込まれる心配がある。下田市の産廃の現状を調査し、申請を精査すべきと発言。
 当局から下田市の産廃処理の流れや申請の整合性について調査するとの回答がありました。

※平成21年12月10日付、静岡県県民部環境局廃棄物リサイクル室長 市川克次 様より、回答をいただきましたが納得できる内容ではありませんでした。



参考書の抜粋


 産廃関連図書の中に興味深い記述がありましたので、一部紹介します。


(1) Q.県の環境整備課や保健所は、「手続き上の問題はない。合法だから安全だ」の一点張りです。どのように対応したらよいでしょうか?

 A.合法が安全の保障にならないことは、各地の事故例が示しています。ただでさえ不備な法や指導要綱を、県は処分場を建設しやすいように拡大解釈します。住民が県に求めるのは書類さえ整えればいいという形式上の問題ではなく、地域住民の生活環境や、生命財産の安全を守るための調査や判断です。(以下略)

(2) Q.業者や行政が公害防止協定を結ぶように勧めていますが、公害防止協定とは何ですか?

 A
 処分場が操業を開始する前に、周囲の自然環境と生活環境を守り、公害の発生を防ぐために、周辺の住民と業者が結ぶ協定をいいます。
 業者や行政はあたかも公害防止協定を結べば、安全であるかのように言いますが、実際の効力はきわめて限られています。現実には、業者や行政が住民を惑わし、処分場の操業を認めさせるための甘い言葉になっているというべきでしょう。ですから、公害防止協定に簡単に飛びつくことは、避けねばなりません。協定を結んでも、それを守らせることは至難のわざです。運動はあくまでも、処分場を設置させないことを目的とし、公害防止協定は最後の手段と考えるべきです。


(3) Q.公害防止協定は守られているのでしょうか?

. 守られていない、というべきでしょう。つまり、住民が公害防止協定を守らせたいと考えている業者ほど、守っていません。県北のT金属は、公害防止協定を結びましたが、協定に従った水質検査を二回しか行わず、しかも二回目の検査で異常が発見されても、その対策をとりませんでした。
 ※(1)~(3)、「ストップ!!産廃処分場/ゴミ問題を考える栃木県連絡会(編著)」1995年、随想社刊より


(4)「今のごみ紛争の多くが、国と地方公共団体による、独善的・非科学的な許認可制度(彼等は許認可を下ろす際にも、書類審査だけで、担当者による現場検証をまったく行わない)の当然の帰結として起こっていることを考えるとき、住民と研究者・法律家の緊密な連携の下に、正すべき歪みがあまりにも多いことに、改めて慄然とする。そのことは同時に、私たちが今後果たすべき大きな責任をも、併せて強く示唆しているのである。」
 ※「廃棄物列島・日本/畑明郎、杉本裕明(編)」2009年、世界思想社刊 p35より


(5)「岐阜市の例でも丹念に調べていれば、違法行為がわかったはずだと思われる。たとえば、木くずを燃やした後の焼却灰は、産廃として処分先を市に報告することが廃棄物処理法で定められている。入手した善商の報告書を見ると、近畿地方を中心にいくつかの会社と処理物、処理量が書かれている。ところが、会社側に確認すると、うち2社はほとんど取引がないことがわかった。善商が虚偽の報告をしていたのだ。調べる気になれば、不正は見抜ける。」
 ※「廃棄物列島・日本/畑明郎、杉本裕明(編)」2009年、世界思想社刊 p64-65より
 (注・住民連合会)岐阜市は中核市のため、市が産廃行政を行っている。




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